くだらない

くだらないです

ああ、納豆くさい。この6日間、誰とも。一言も、話さなかった。ただ、灰皿の方向を向いてタバコを吸い、終わったと思ったら、灰皿にうつして。ベッドで横になり、気付いたら炊飯器がベッドの横に落ちてる。今は左足の薬指の関節がちょっと痛くて、掛け布団を追いやったところよ。ただ活字だけを読み、疲れたらパソコンを開いて、音楽だけを聴いたわ。だいたい読み途中の本がありすぎるのよ。読んでみたらこんなに面白いのに。なんでこうも途中で本棚(本棚ならまだいいけど、床に三、四冊落ちてた)に戻しちゃったりするのかな。ん、この本、なんか紙がくっついてるわ。昔、男に貸した時にこうなったのかしら。何かを落としたか、こぼしたかしたらしい。ファブリーズの匂いがするよ。きっとそれで匂いをごまかしたんでしょ。そのせいで余計濡れちゃったみたい。全く気持ち悪い奴だった。でも好きだったのも、確かかしら。「拙者のことは利用するだけ利用し、あとは好きにしたまえ。」みたいなことをぬかしてたわ。この一年間を振り返る?ふざけないで。
なんであんなところに飲みかけの500mlの炭酸水が落ちてるの。なにこれ本当に納豆くさい。そういえばこの一年、掃除という掃除をしてない気がするわ。コロコロなら何度かしたけど。シーツがすごいの。私、ベッドで寝っ転がりながら書き物をしちゃうからなんだけど。ボールペンやら何やら、シーツの上で転がしてるうちに、いつの間にかシーツが多彩なことになっちゃったの。はぁ、でもいいのよ。よーく眺めると、小さい頃に家で飼ってた蝿に似てるなって、思ったから。そう思うことにしたの。ちょっと今、ふと机の上に目を向けてみたんだけど、4種類くらいの風邪薬が散乱してて笑ったわ。なにあれ。パッと見たところ、薬に溺れちゃった薬中ね。タバコなんか吸ってる時点であながち間違ってないけど。んー、机の中央にそびえ立つ芳香剤がなんともチャーミング。そしてその横に瓶詰めの柿の種があるのも趣があるわ。これが末路ね。はぁ、、いた気持ちい。今、綿棒を手に取って耳に突っ込んでるの。少しでもこの部屋にあるものをごみにしたかったのよ。なんとなくね。それから、今さっき、机の上に辛うじて留まってる、埃かぶったキャンドルに火をつけたんだけど。これ、いつ買ったと思う?忘れたわ。そういえば鼻くそをほじくりながら人の話を聞くのは、すごく罪悪感を伴うけど、耳糞をほじくりながら人の話を聞くのは罪悪感が限りなくないのよね、なんでかしら?
本当に感情を抑えられないような時も、言葉にし難い幸福感に包まれた時も、老子の言葉を頭に浮かべ、ただ瞑想を繰り返す日々だった。瞑想に瞑想を繰り返し、気づいたら、歯磨き粉を出しすぎてしまう。そんな一年だったわ。そして今。そして今、これが末路よ。はい終わり。
ごめんあそばせ、私、今なにも聞こえないの。あゝ、色即是空、空即是色。
あら、洗濯物は確か5日前に干した気がするけど、取り込んでないわ。そして今、私の部屋を見渡して一番ゾッとしたのは、壁ね。壁という壁のいたるところに、なにかしらが貼ってあるの。くわばらくわばら。それは、例えば、素敵な思い出の詰まった写真だったり、絵葉書、絵葉書?絵葉書なんてなんで壁なんかに貼ってるのかしら。まさかイラストレーターも壁に貼られるとは思って、、たりしてね、わからないわ。その他、キャラクターシール(こいつを後々剥がすのが一番面倒くさそう)、誰かからもらった手紙、アインシュタイン肖像画、クリアファイル、クリアファイル??
いくらデザイン性に優れたクリアファイルでも(このクリアファイルは完全にクリアなデザインである)まさかインテリアにされるとは思ってなかったでしょうね。完全に使い方を間違えてるし、どことなくクリアファイルが恥ずかしそうにみえるわ。それから紙コップロケットの作り方、なんてものもあるわ、壁に貼られているものの中では一番チャーミングね。ん、あと、提出期限に間に合わなかった音声学のレポートが貼ってあるわ。なんだかよくわからないけど、提出期限に間に合わなかったあのレポートを壁に貼ってから、あらゆるレポートの提出期限に間に合うようになったのよ。不思議。
それにしてもこのレポートは我ながらとてもくだらないことを書いているわ。提出できなくて本当によかった。内容は、母音を発音する際に、舌の盛り上がりの位置が母音の音色に影響するけど、人間の口には目盛りとか目印とかついてないよね、なんか教科書には図示されてるけど、実際、無段階に連続してるよねー。っていう主張に対して、興味を持っただの、それは人間の身体全体に言えるとか、言葉にも言えることだとかって、やたら一文が長い状態でとにかく書かれてるのよ、、まぁ提出期限に間に合わなかったくらいだから、ギリギリの1時間前とかにやり始めたんでしょうね。そして極め付けはこれ。これが最もこの壁に貼られたものの中では価値があるわ。ちゃんと日付まで書いてある。2015年12月28日(日)810円。宛名がなぜか天照大御の領収書よ。これについてはいちいち説明したくないかな。想像にお任せしたい。これは間違いなく、ここに貼られるべきだったし、そもそもこの出来事があったことをこの一枚の領収書だけで表現しきれているわ。こんな素晴らしい領収書が今までにあったかしら。ひとまずこれについて書こうかしら。できれば想像にお任せしたいんだけど。ウッフ。
はぁ。もう、いい加減にして。なんでこんなに喉が痛いの?どうして?教えてよ、教祖たち。もういや。何も飲み込めないじゃない。声帯はやられてないみたいだから、喋れるんだけど。薬も効かないし、、最高潮に痛かったのは3日前くらいなんだけど。とにかく、それもあって、今この状態なのかもしれないわ。
はぁ。今はちょっと目が覚めちゃって、コーヒーを飲みながら一服したくなる、明け方くらいの時間?それともヨーグルトを買い忘れて、もう一度近所のスーパーに行こうかなんて悩んじゃったりする夕方くらい?それともあなたは旅行中で、空港のベンチで寝そべってたりするのかしら?(寝心地はいかが?)それとも本を開いたはいいものの、突如激しい睡魔に襲われ、その後、日々のお忙しいあれこれに追われ、再び腰を据えて開いてみた3週間後のあなたかもしれないわね。つまり何が言いたかったのかしら、、そうそう、今が何時でもいいということよね、、そんなこと、知ったことじゃないわ。レディーーース、アンドジェノメン!!おじ様もおば様も、どこぞのヤンキーもいらっしゃいませ!

 

 

 

あなたはいつも笑顔にしておくべきなの。知ってたかしら?あなたは、持っている人生を笑顔にしなければならないの。神があなたにもう一度目を覚まし、異なることをする機会を与えるわ。何度も間違いを犯すことができるし、何度も変えることができる。いつも今日は今日とて幸せで、さらに明日は違うものになるかもしれない。あなたの目を見開いて。あなたの体を感じ、あなたの動き、笑顔、というかむしろあなたの生きている生活を、毎秒生きて、試してみることをやめないでほしいわ。変化したいなら、変なことをしたいのなら、あなたの人生を価値あるものにするわ。あんたはベッドに横たわってなんかいないはず。
単純に人生を生き、狂気に暮らし、太陽の光にういんくするのよ。

 

女、つきとばす。男、蹌踉めく。質問が、おあり?「声が、おおきいよ」
女はしゃっくりした。

ささやかな餞(はなむけ)を、あなたに。